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通行止めが、延長されています。
現在のところ、18日いっぱいまで通行不可。
それ以後不明。
そして静まり返ったままの上高地。
夜7時に外に出てみると
普段はもれてくる客室からの明かりもなく
月もなく
星たちも、ほとんどは薄雲の奥に隠れ
闇はいつもより深く
風の音や瀬の騒ぎの隙間にある静けさは
足音をかき消さんばかり。
翌日からの待機となってしまった宿舎の仲間たちは
もう、酒を呑むしかありません。
その、陽気に笑う声すら・・・。
くらやみの しずけきこえに かきけさる ひとのたつきの おとのはかなさ
さあ、呑みの仲間にもどろうか。
入り口の釜トンネル付近で落石があったため。
午前中、落石で通行止めとの情報。
しばらくして、片側交互通行可との情報。
ほどなくして再び落石のため通行止めとの情報。
その落石で負傷者が出た情報を伝えてくれたのは、宅急便のニイちゃん。
そしてその負傷者のうち、1名が亡くなったとの情報・・・。
通行者の安全を守るために、落石ネットを設置していた作業員の方でした。
これから先、我々は、彼が設置した(或いはしようとした)ネットに守られて
そこを通ることになるのです。
そして
釜トン外側で待機していた団体客が、乗鞍方面の他宿へ向かったとの情報。
※
上高地は今、静かです。
重く、静まりかえっています。
好まれぬ 土地なればこそ 空広く みどり明るき からまつ萌ゆる
昨日の話
宿直明け休憩を利用して、岳沢の途中まで登ってきました。
シラビソ、コメツガ、イチイ・・・?
たぶん、そんな感じの樹木が鬱蒼と茂る森の中を、小1時間ほど登り
ようやく開けた場所に出ました。
石ゴロゴロの、水のない沢状の場所で
樹木はまばらにしか生えていません。
従業員食堂からくすねてきた食パンを食べながら
ぼおっとしておりますと
登り口からここまでの道のりではあまり出会わなかった
落葉松の若木と目が合いました。
そうそう
カラマツは、こんな感じの、
あまり他の植物が好まないような荒れ地に根付くのだったな。
そして林を作り、土地を整え
やがて、進出してきた後発の樹木たちに主役をとって代わられる
そんな運命の樹木だったよな。
割に合わないよね、キミたち。
・・・なんて思わず口を滑らせたら
ちっこい落葉松の若葉たちは大笑い。
やつらの言うにはこうだ。
あんな辛気臭い暗い森の中で、ゆっくりゆっくり年をとるのと
この広い空の下で、おひさまの光をいっぱい浴びて
ロケットのように空目指して伸びてゆくのと
どっちが恵まれた境遇かい?
うーん
ワタクシは木ではないので、どっちがどうとは言えないけれど
ただ、薄っぺらい知識だけで
いい加減な同情をしてしまったことが
恥ずかしくなってしまいました。
それに・・・そう。
こやつらは、秋になると、一本一本が細かい針のような落ち葉となって
どこからともなく屋内や車の中に侵入し
カーペットに張り付き
掃除機でも取れない、コロコロでも取れない
とってもタチの悪い、お掃除の大敵になるのです。
それを忘れていました。
確かに、同情なんてしてやる奴らではありません。
でもそんなこと忘れるのも無理はないほど
落葉松の若葉たちは
とってもかわいい。
いずれクソジジイ、クソババアになり果てるとはいえ
今だけの輝きを放つ彼らを、うっとりと眺めていた
クソジジイ予備軍の
ワタクシなのでした。
山奥など、樹木の多いところでは
木々の、ほんのちょっとした変化が
大きく景観を左右するものです。
昨日か一昨日かに萌え出た若芽が
イッチョマエに大きな面して、上高地の景を作り上げていました。
※
・・・最近画像無くてさみしいね。
撮ってる暇ないからなぁ。