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葡萄畑の傍に庵を結び、日々徒然なるまま  このブログのシステムもよく理解できぬまま、 勢いで始めてしまったブログ。
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いろいろあったおかげで、なんだか悄気ております。
話す気になったら話します。

けど、ま、槍山行記が途中だ。
続けなければ。

Show must go on !

( ↑ つくづくいい曲だと思います。古い曲ですが。)



16:30
テントを抜け出て、T君と共に槍の穂先に向かいました。
30階建てのビルに相当する高さの穂先でしたが、(小屋との比高120m)
手がかり、足がかりとも豊富にあって、岩も安定していて、
随所に設置された、鎖、梯子に助けられ、
案外あっさりと頂上にたどり着くことができました。


山頂は、てっぺんでした。
本当に、天の辺に達した気分でした。

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槍ヶ岳山頂。
こういう場所にある祠の前に行くと、
ほぼ確実に神様に会えます。

086c419c.jpeg

砂浜に指で書きたる文字に似て 言葉は雲の波に消えゆく


生きていて良かった。
そんな単純なことを思っている単純な自分が、
このときばかりは愛おしかったりするわけです。

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槍の穂は我が身を貫き血に染まり たましひは其れを眺めてゐるのだ


夕暮れは、槍の穂先で迎へむか、
槍を眺めて迎へむか・・・。

だいぶ迷ったのですよ。



日没が迫ってきました。

さあみんな、缶ビールのふたを明けて、
一緒にこの時を過ごしましょう。
あ、お酒だめ?
じゃあコーヒーでも淹れましょうか。

それでは

地球の回転に 乾杯!

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一番星が出てきました。
東の空に明るく輝いています。
金星かな?

「あれは木星ですよ」
と、星に詳しいT君。ほんとうに詳しい。

今度は頭上にふたつめの星を発見。あれはなんだろう?
「あれはベガです」
即答。

南東の方角に、3番目の星が輝きだしました。
あれはなんだろうねえ。
「あれは・・・飛行機ですよ、ほら、動いてる」

・・・・・そうともいうね。



いつもどおりマカロニを茹で、
レトルトパックのソースの封を切り、
冷たいソースに熱々のマカロニをぶち込む、
それをレトルトパックのまま貪り食う、
傍らには缶ビール。
下界でやったら、わびしさこの上もないこのスタイルも、
天上では宮中晩餐会の極上レシピとテーブルマナー。

そんな晩餐もお開きになり、
テントから首だけ出すと・・・

22c86999.jpeg

天の川の落ち行く先の地平線に明るく輝くのは、
中京圏の街の明かりでしょうか。
あれでは星が見えないわけです。

でもおかげで山の影が映えています。
山の上では、すべてがプラスに作用するのです。

標高3000mの夜。

空は澄んでいました。



翌朝
穂高方面へ縦走し、
3日後に上高地へ下山するというT君と再会を約し、テントを撤収。

で、今朝も性懲りもなくヤリの穂先へ。

さあ、ここから下ります。

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9a451261.jpeg

ヤリさん、さようなら、お世話になりました、パチリ。
(太宰治 「富嶽百景」のパクリで)



下りはゆっくりカワイイ子たちを愛でながら。

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画像上左 
鳥兜(トリカブト)

画像上右 
深山金鳳花(ミヤマキンポウゲ)

画像下  
信濃金梅(シナノキンバイ)

 



16:30ごろだったかな?
河童橋帰着。 

お付き合いいただいて、ありがとうございました。


オマケ
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ヤリの影
PR
9:40
休憩の後、槍沢ロッヂを出発。

R0017680.JPG

槍本峰が姿を見せたのは、ほんとうに一瞬だけでした。
しかし代わりにこの景色。
歩けば山、歩けば、花。

道端に屈みて花に道問へば ただまつすぐに上へと答ふる

しかしどうしたことか、身体が重たいのです。
歩き始めて4時間以上。
もうそろそろ、荷が身体の一部になって、
足が軽くなっていてもよさそうなころなのに、
今日は身体とザックが仲違い。
なかなか一つになってはくれません。

歩いては止まり、歩いては倒れ、
いざるように進んでゆきます。

それにアブがひどい。

ちょっとでも立ち止まると、たくさんのアブが身体にたかりだします。
へたりこんで休憩している時など、
こちらに追い払う気力がないのを良いことに、
顔にも頭にもぶんぶん、ぶんぶん。
まあ、刺したり悪さしないので、慣れれば可愛いものなのですが、
耳元に来られるのは、ちょっとね。



「いやあ、アブがひどいですね」
と、人懐っこそうな笑顔の上に、こちらと同様アブを数匹飼っている男が一人。
この男、ワタクシと同じテン泊装備、歩くスピードもだいたい一緒。
彼がヘタればワタクシが抜き、ワタクシがヘタれば彼が抜き、
そのうち道連れになってしまった、福岡から来たT君です。

彼は稜線より200m下の「殺生ヒュッテ」のテン場泊まりの予定だということ。
ワタクシは稜線上の「槍ヶ岳山荘」まで行く予定なのですが、
どうもこの身体の辛さからすると、
その高度差200mが果てしない距離に思えてきます。

どうしよっかな、ボクも殺生泊まりにしようかな。
どっちにしてもヤリは射程距離だしな。
どーしよーかな、どーしよーかな。

R0017694.JPGなどと考え登っていると、
突如ヤリが現れました。

画像は、見え始めてから
少し登った先の
「坊主岩小屋」付近。

槍ヶ岳開山の祖、
江戸時代の僧、播隆上人が
使ったとされる岩小屋です。

岩のくぼみに
大きな岩が覆いかぶさり、
居心地が良さそうですが、
彼はここで何十日も
念仏を唱えていたとか。

画像右端の稜線付近に
殺生ヒュッテが見えます。
(わかるかな?)

画像には写っていませんが、
ワタクシが目指すのは、
ヤリの、向かって左脇にある
槍ヶ岳山荘のテン場です。

そのわずかな差がつらい。
どっしよっかな~。



はてさてどうしたものかと思っているうちに、
早くも殺生との分岐が目の前に迫ってきました。
口では、T君に、じゃあそろそろ、気を付けて、なんて言いつつも、
心の裡では、もうこのへんにしようよ、などと弱音たらたら。

ところが
殺生との分岐に達したところで、この期に及んでのT君の爆弾発言。
「やっぱ僕も上まで行きますよ」

「・・・はい?」

「せっかく仲良くなったんだし、T君につきあって殺生泊まりにしたんだよ」
という言い訳を封じられたワタクシは、
果たしてその動揺を完全に隠し切れていたのでしょうか。


R0017716.JPGこの一歩 この一蹴りが
重力を振り切り 
空へ向かふと信ず

道はいよいよ九十九折れ、
稜線までの最終区間です。
道が折れる度に立ち止まり、
何度か折れると座り込み、
急な斜面なので下ばかり
向いていたのですが、
ふと見上げると、
目的地はもう目の前。
だけどそのわずかな距離が
遠い、遠い。

だけど後ろを振り返ると
いつもは安曇野から
見上げてばかりの常念岳が、
もうオレより高いところまで行ったんだ、あと少しだよ。
と、背中を押してくれます。



あそこまであと何歩?
いち、に、さん、し、・・・
・・・あれ?いまは何歩目?
まあいいや
とにかく前へ・・・。
右、左、みぎ、ひだり・・・





15:30 槍の肩到着。

R0017705.JPG

稜線まで達しました。
その先が見えています。
飛騨側は雲の大波がうねっていました。

T君もいい顔してました。

雲の波にさらわれぬよう、岩の陰に幕営準備完了。
靴を履いたままテントにもぐり込み、足はテントの外に投げ出して、
しばしまどろんでいました。



そんなわけで、「破」の巻はここまで。
ずいぶん長くなってしまったね。
ここまで読んで頂いた方、どうもありがとう。


さあ、いよいよ次号、ヤリの穂先へ・・・!

R0017724.JPG
お待たせしました。
さあ行きますよ、本編。

R0017608.JPG

今日もまたいつもと同じ道を往く いつもの山は朱(あけ)に輝く


槍ヶ岳

この谷の奥のそのまた奥にあり、
前を流れる川の源にあって、
いつか訪ねんと思いつつ、
いつでも行けるさとタカをくくり、
でもいざとなると、
我が身の気の多さが災いし、
後回し、後回し。

そんな巡り合わせだったこの山が、今、
この足が踏むこの道の、果てにひらりと天を突き、
北鎌西鎌東鎌と、翼の如く尾根広げ、
この身この足、その頂に達することがあるならば、
鳳凰の姿をしたるこの山は、
あるいは星の彼方まで、我を連れ去る仕度して
連なる山のその奥に、
凝っとそのときを待っているのです。

でも今は早朝。午前5時。

歩いているのは、まだ歩きなれた、いつもの区間。
いつものように、左には明神岳が朱に染まり、
少し東の地平には、もうすでに、朝日が昇っていることを教えてくれています。

R0017610.JPG

 7:20 横尾到着。
久々のテン泊装備の重荷の割には、いいペースです。

この吊橋を渡れば、涸沢への道です。
だけど今日は、この橋は素通りして直進。

 
R0017640.JPG山を歩いてうれしいのは、こんな湧き水。

飲む、水筒に補給、顔を洗う。

すべての行為が、
癒しと活力につながっていきます。


湧きいずる 清水の前に跪き
身を清めれば ここからは 山


余談です。
この水筒、プラティパスというんですが、
ワタクシの持ってる旧型は、名前のとおり、
カモノハシ君マークがついているんですが、
最近のは、Platypusって文字だけになってるんですよね。カモ君マーク可愛いのに。
買いなおすことのないよう、大事に使っていこうと思っているわけなのです。



R0017630.JPGR0017648.JPG


さて、道端のお花のご紹介。
(よく撮れていなくてすいません)

左 キツリフネ
「黄釣舟」と書きます。名前のとおり、花がぶら下がってます。
中央部の斑点は、蜂を蜜まで導く案内表示の役割を、
下に広がる大きな花弁は、蜂のための足場の役割を、
それぞれしていると言われています。
見上げた顧客第一主義には、ただ感心するばかりです。

右 センジュガンピ
「千手岩菲」と書きます。
あ、ナデシコだ、と思ったとおり、ナデシコ科の可憐な花です。
名前の由来は・・・よくわかんないや。

さて、横尾を過ぎて、しばらく歩きますと、
「槍沢ロッヂ」という山小屋にたどり着きます。
ここで、一瞬だけ、槍がその姿を現します。
こんな感じで。

R0017666.JPG


手前の物体は、山小屋が設置してくれている望遠鏡です。

そうです、そういうわけなのです。
この望遠鏡の接眼部に、我がGX100を当てて撮った写真が、
予告画像その1、というわけなのです。

ちなみに、予告画像その2も、この槍沢ロッヂに掲げられてあったもの。

ヤリに向かって飛んでゆく我らミツバチに対して、
槍沢ロッヂの配慮は、まさに黄釣舟並み。すばらしい。
雰囲気も良さそうな小屋です。
いつか泊まってみたいですね。

というわけで、「序」はここまで。
次号、刮目して待て。

伝へむとするこころさへ 麦酒やら米酒にまぎれ 霧と消ゆ夜


いやはや
宿直勤務明けの本日より、槍山行記を記そうかと思っていたのですが、
意のままにならぬは世の理。

麦酒処理業務やら米酒処理業務やら、
大変な残業を課されてしまいまして、
本日はもう気力の残存がございません。

ちゅうわけで、
万が一、待っておられる方がいらっしゃるようでしたら、
もうちょっとまってね。

ほんと、スミマセン。

で、予告画像その2
「ヤリへの道」
1b7270c6.JPG
下山当日はほとんど息絶えてましたので、
ご報告が遅れてしまいましたが、
無事、ヤリから降りてきました。

この、無事、というのが大事なところで。

本日は奥穂~西穂間にあるジャンダルムと呼ばれる岩峰で、
遭難救助中のヘリが墜落、
三人が死亡。

先日、行方不明者捜索に出た際、
ローターブレードが接触するのではないかと思うほど、
斜面ギリギリに近寄って捜索するヘリを見た後だけに、
いろいろと思うことがありました。



自分が危険だと感じる場所は、
救助に行く人間にとっても危険であるということ。
その場所で救助を呼ぶということは、
他人を危険に巻き込むということ。

そして、危険に巻き込まれることを承知で、
山に行く我々を見守り、
来てほしくないその日のために、
日々訓練をし、警戒してくれている救助隊員の方々がいるということ。



山で事故を起こさない最高の方法は、もちろん、
山に行かないこと。

でもそれでは、山を知り、山を愛しながら、
救助活動に身を挺している方々の苦労に報いることにはならないでしょう。

無事に降りる。

この一念がすべて。
それを実行することがすべて。

改めて、心に刻むべきと思いました。



さて、
次回から、何回かシリーズで、
「高嶺の花と槍地獄 痛苦の悦楽調教(総天然色 成人作品)(仮題)
をお送りしたいと思っております。

・・・が、ちょっとだけ予告画像。

ちょっとだけよ。

23af9bbf.JPG

なぜ縁が丸いのか、
そのあたりも含めまして、乞うご期待。
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