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葡萄畑の傍に庵を結び、日々徒然なるまま  このブログのシステムもよく理解できぬまま、 勢いで始めてしまったブログ。
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ヤリ行ってきます。

まあいろいろあったあとなので、
会社から許可出るか心配でしたが、以外になんなくクリア。
これだったら、当初の計画通り、
穂高縦走&ジャンダルムリーでも大丈夫だったかも。
まあいいか。

明日早朝発の、テント1泊です。

まあいろいろあったあとなので、
みんな心配してくれましたが、
そのわりには
呑まされたぞ
ていうか、呑んだぞ。

天空を突く槍に向け 心のみ あるこほる点火 先に飛び去る

では行ってまいります。
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d1613ddc.JPG

呼ぶいのち 応えるいのちを繋ぎたる ザックを称え 花は寄り添う


本日午前中は、行方不明者の捜索に出ていました。
当地に棲息する我らが同類(・・・のなかでも大先輩)の一人が、
前日山に入ったまま消息を絶っていたためです。
相当に山慣れした人でしたので、まったく信じられない話でした。

そして本日早朝。

入山したと思われる地点を絞り込み、何隊かに分かれて捜索を開始しました。
ワタクシの隊は、その山域を熟知した古豪二人と、県警山岳警備隊員の方二人。
及びペーペーのワタクシ。

樹林帯の、かなり急峻な尾根を登りつめ、
無線を使ったヘリとの合同捜索でも手がかりがつかめず、
悪い想像ばかりが膨らむ中、

「アイツならあそこにいるはずだ」と、
「壁」と呼ぶに近い斜面の下を指さした古豪二人。

この下なら、谷沿いを進む隊の担当区域だろう、
と思っていると、
古豪たちは、ヒョイヒョイとその急斜面を下ってゆくではないですか。

ええええええ!?マジですか?

と思いつつ、ワタクシも肝を冷やしながらその斜面を下り、
出た沢を登った先の涸れ滝の滝壺、
要救助者は、まさにそこにいました。

もちろん、生きてましたよ!
大分酷い怪我でしたが。

それにしても古豪二人の勘の鋭さといったら。

30分後。

幅10mもない沢の上空にピタリとホバリングしたヘリのホイストに
(見惚れてしまうテクニックでした)
要救助者は吊りあげられ、病院へと運ばれました。



この時期にしては暖かく、雨も降らず、穏やかな夜だったこと。
捜索区域を絞り込むことができた、唯一の目撃証言の存在、
数々の幸運が、彼の生還につながりました。

下山後、古豪の一人が、警備隊員の方に言ったひとこと。
「最高の答えを出して頂いて、ありがとうございました」

「最高の答え」
間違いなく、この日の出来事を表現する、最高の言葉でした。



画像は発見現場にて。
花は、秋の麒麟草(黄)と大文字草(白)、たぶん。

青いザックは、我々をサポートしてくれた、県警山岳警備隊員の方のもの。
この青いザックを頼りに、ワタクシは必死で後について行ったのです。

ヘリを待つ間、落ち着いてあたりを見回せば、
垂直の岩に囲まれた狭い沢には、
たくさんの秋の花。

なんとなく
彼を生還に導いた数々の幸運は、
偶然ではなかったのだな、と思いました。
a66fdb52.JPG


見あぐれば 空あり 夏を連れ去りし後に つめたき 空のみぞ あり


8月が終わります。
2b92b64a.JPG


故郷の千島の夏に恋焦がれ 桔梗は登る 空の際(きわ)まで


お盆期間中は、さすがにネタ収集に事欠くほどの多忙だったので、
こないだの西穂ネタをしばらく引きずらせていただいております。

さて

チシマギキョウ

本州の高山帯や亜高山帯には、
「エゾ」「チシマ」「カラフト」などの名を冠した植物がたくさんあります。
これは、気温などの環境が、かの地に似ているためです。

もっとも亜寒帯では、これらの植物はもっと標高の低い場所に存在します。
彼らにとって、本州は暑すぎるのです。
だから、こんなに高い場所まで避暑に来ている、
なんていうふうに考えることにしています。

東京の不条理に暑い夏が苦手で、
いまやこんな場所で夏を越す身になり、
もうきっと、まともな夏が来る場所では生活できないんだろうなぁ、
という身体になってしまったワタクシにとって、
とても親近感の沸く、「エゾ」「チシマ」「カラフト」たちなのでした。
530da40c.JPG


良薬は味苦くして目に甘く 手に採りがたし 高嶺の竜胆


先日西穂に登った際の一葉。

この「トウヤクリンドウ」。
ワタクシの好きな緑色系の花の中でも、特に好きなものです。
漢字で書くと「当薬竜胆」。
「薬」に「当てる」から「当薬」
だと思っていました。

がしかし、
調べてみるもんですね。
「当薬」とはセンブリのことで、同じくとても苦いので、
このカンムリがついているとのこと。

そもそも「竜胆」自体も、
竜の胆のように苦いという意味だそうで、
「当薬竜胆」だなんて、いったいどれだけ苦いんでしょうね。

しかもこれは本当に高いところにしか咲かない「高嶺の花」。
これを見つけたのは、西穂独標(にしほどっぴょう)という、
2700mくらいの小ピークの手前あたり。

目指す西穂高岳(2909m)は、まだもう少し先なのですが、
これを見てしまったので、もう満足して、
もうここで引き返そうか、と思ったくらいのうれしさでした。

でもここで引き返してしまっては、
地獄の針山、針千本、痛い怖いのマゾ極楽を味わえないわけですから、
(2つ前の記事を参照してね)
当然、前に進みましたよ。




このトウヤクリンドウをふくめ、
高山植物にこの目を向けさせてくれた、八方尾根の花のエキスパート。
山で、白馬の街で、出会うたびに、
質問をするワタクシに笑顔で教えてくれた、
ワタクシが勝手に師匠と思っていた方が、

つい先日、他界されました。
日本海で水死されたのです。

あの人懐っこい笑顔が、
もう八方尾根で見られなくなってしまいました。

山で会うあの花も、この花も、
多くは彼から教わったり、彼が監修した図鑑で覚えたものです。

・・・・・・・・・

謹んで、ご冥福をお祈りいたします。 
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