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葡萄畑の傍に庵を結び、日々徒然なるまま  このブログのシステムもよく理解できぬまま、 勢いで始めてしまったブログ。
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そうそう。

せっかく3月に「浅間温泉路地フィールドワーク」を行いながら、そういえば
イロモノ的な路地の記事しか書いてなかった。
あんなものしか見つからなかったわけではなく、むしろ逆に、ワタクシにとっては宝物のような素晴らしいものばかりを見つけた所為で、披露する機会を探っているうちに、出し惜しみをしているような感じになってしまっていたのです。

でもいい加減にしないと、鮮度も落ちてくるというものです。
というわけで本日は、蔵出し大公開処分市と、いつものように無駄に大風呂敷を広げてみたいと思います。

その第一弾です。

本当にあの日は天気もよく、つい昨日までの冬の日が、遠い昔の出来事に感じられるような、暖かい日でした。
昔の路面電車の終着駅跡に作られた、浅間温泉バスターミナルの付近を歩いていると、こんな看板が。

DSCF0074.JPG「川島芳子旧宅跡」
ご存知でしょうか、「男装の麗人」「東洋のマタ・ハリ」などの異名を持つ、戦前戦中を駆け抜けた女性。
清王朝の王女として生まれ、関東軍と手を組んで満州国成立に関わり、片や歌を歌えばレコードも出し、しかし、戦後に銃殺刑に処せられた、悲劇のヒロイン。
以外に近くにゆかりがあったと知って、びっくりしました。

彼女が日本人の養父に(政治的な思惑のもと)引き取られ、少女時代を送ったのが、この浅間温泉なのでした。彼女はここから現在の蟻ヶ崎高校までを、馬に乗って通っていたといいます。見上げる女学生たちの憧れの眼差しが、容易に想像できます。
将校殿との恋愛(失恋)がきっかけとなって、髪を切り、男装するようになったともいわれています。

非常にカラフルな人生を送った方なので、多くの芝居、映画、ドラマなどの題材にされてきました。映画「ラストエンペラー」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

ワタクシはなぜか、TVドラマに出ていた山田邦子を思い浮かべます。
ドラマの題名も、他にどんな役者が出ていたのかも全く覚えていないのですが、山田邦子演じる川島芳子が銃殺刑に処せられるシーンで、壁に向かった彼女が最期に空を見上げます。その晴れやかな表情だけが、鮮烈な印象として今も脳裏にあるのです。

理不尽な裁判で、不条理な裁き方をされて壁の前に立つ、そんな女性を演じるのに、山田邦子はなぜあんな解釈をしたのか、演出家はそれを承認したのか。

ワタクシなりによく分かる気がします。
生き抜いて、その先の地獄をみてこそ人生、そんな考え方もあります。おそらくは真実なのでしょうが、そんな苦役を免除される場合だってあるのでしょう。その特権を手に入れるためには、それなりの人生を送らなければならない。そして彼女はその資格を得るに十分な人生を送った、そんな自覚があったのではないでしょうか。そういう解釈のうえでのあの表情だと、ワタクシは一人合点をしています。

家あれども帰り得ず
涙あれども語り得ず
法あれども正しきを得ず
冤あれども誰にか訴えん

実際の川島芳子が、今際の際に何を想ったか、今となっては永遠の秘密ですが、遺体となった彼女の獄衣のポケットから発見されたとされる辞世の句が、なにかを語ってくれているようです。
 

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