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葡萄畑の傍に庵を結び、日々徒然なるまま  このブログのシステムもよく理解できぬまま、 勢いで始めてしまったブログ。
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今日は共同生活の苦悩のお話。

上高地勤務の間すごす宿舎はとても快適なのですが、
相部屋なので、プライバシー的には多少の難ありです。

しかしながら、この宿舎の良く造られた2段ベッドの上段は、
登り降りの労さえ厭わなければ、
かなり高レベルのプライベートな空間を確保できます。

オマケに、毎日寝台列車やフェリーの寝台で移動しているかのような、
旅気分さえ味わうことができる上、
梯子の昇り降りの労さえ、
ジャングルジム的な楽しみに変えてしまうことができる、
まさに1石2鳥な空間で、ワタクシは満足して生活しているわけなのです。

ではなにが不満で、苦悩しているのか。

それは音です。
勤務時間帯の違う人々の立てる物音、
イビキ、テレビ、話し声、その他正体不明の物音。
要するに、安眠を妨害する音声ということ。

しかし、これですらほぼ完璧な解決策を見出しています。

それは、アイマスクと耳栓。

最初は異物感に戸惑いましたが、
最近では松本の自宅にいるときでさえ、
装着していないと落ち着かないほど。

では解決しているのであれば、何を苦悩しているのか。

それがほかでもない、
このアイマスクと耳栓なわけです。

アイマスクに罪はありません。
問題は耳栓。

今年に入って、すでに3回ほど耳栓を購入しています。
汚れたり、紛失したりしたためです。
汚れはまあともかくとして、
紛失の理由は、睡眠中に外れてしまったが故。

この問題を解決すべく、ワタクシは新兵器の投入を決意しました。

それは、「ヒモつき耳栓」

右と左の耳栓がヒモでつながっています。
すぐれた耳栓の形状、材質も相俟って、脱落・紛失事故は激減しました。

が、

この耳栓は、常にアイマスクとセットで使用しています。
アイマスクには、頭に巻くゴムひもがついています。
耳栓にもひもがついています。
そしてヒモというものは、カラマるものなのです。



今、ワタクシの目の前には、
アイマスクと耳栓があります。

睡眠中の複雑な頭部の動きによって、
ギリシャ神話にでてくるなんたらの結び目のように、
宿命的に絡まったアイマスクと耳栓があるのです。



安眠の約束の糸をたどり行き 道半ばにて 朝を迎へる



そんなことにならんように、がんばってほどきます。
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幸いに 嵐のひとつも近付けば 気がかりいくつか あるものなのさ


台風だ。
わーいわーい台風だ。
超強力だ。
みんな吹き飛ばしてしまえ。
鉄砲水だ。
土石流だ。
高波だ。
全部押し流してしまえ。

にほんをたいらにしてしまえ。



そんなことを本気で思っていられるようになれれば、
それはそれで、どんなに楽な事かとも思うのですが、
とりあえず、目先のことがいろいろと心配なのです。

明日はちゃんとバスが動くだろうか、
通行止めの可能性は?
お客さまはちゃんと帰れるのかなぁ。
こんな状態でも楽しんでもらえるかな。

落石や崩落などで、
長期通行止めなんかになったりしたら困るなぁ。
前回の休暇の際に、
もっと物資(主に酒)を持ち込んでおけばよかったかなぁ。

それと松本でお留守番の相方のこと。

ただでさえ地に足がついていない人生のアイツが、
強風に吹き飛ばされたりしないかな。
飛ばされたら飛ばされたで、
ヤツならそれこそどこまでも、
楽しんで飛んで行くには違いないけど、
探して回るのが面倒だ。

橋のたもとのケショウヤナギは、
どうやらだいぶ弱っているようだけど、
バキって折れたりしないかな。

サルは濡れて寒かろう。
カモも飛べずに不便だろう。
蛾たちはどれだけ死ぬのだろう。

河原のあの石ころは、どこまで流されてしまうのだろう。



ちいさな心配事に囲まれて暮らすのも、
ちいさな幸せなのかもしれませんが。


月までをぴよんと跳ぶには遠しとて 電灯の下 人は餅搗く

今夜は河童橋の向かいで、月見のお祭りがありました。
餅搗き、きのこ汁、振舞い酒
賑々しく、皆浮かれ騒いでおりました。

天敵、台風の接近に、
雲の布団を被って不貞寝を決め込んでいた月読様も、
何事かと下界を覗き込んでいます。
ちょうど姉の天照大御神が、岩戸の前の乱痴気騒ぎに
姿を現したように。
いろいろあったおかげで、なんだか悄気ております。
話す気になったら話します。

けど、ま、槍山行記が途中だ。
続けなければ。

Show must go on !

( ↑ つくづくいい曲だと思います。古い曲ですが。)



16:30
テントを抜け出て、T君と共に槍の穂先に向かいました。
30階建てのビルに相当する高さの穂先でしたが、(小屋との比高120m)
手がかり、足がかりとも豊富にあって、岩も安定していて、
随所に設置された、鎖、梯子に助けられ、
案外あっさりと頂上にたどり着くことができました。


山頂は、てっぺんでした。
本当に、天の辺に達した気分でした。

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槍ヶ岳山頂。
こういう場所にある祠の前に行くと、
ほぼ確実に神様に会えます。

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砂浜に指で書きたる文字に似て 言葉は雲の波に消えゆく


生きていて良かった。
そんな単純なことを思っている単純な自分が、
このときばかりは愛おしかったりするわけです。

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槍の穂は我が身を貫き血に染まり たましひは其れを眺めてゐるのだ


夕暮れは、槍の穂先で迎へむか、
槍を眺めて迎へむか・・・。

だいぶ迷ったのですよ。



日没が迫ってきました。

さあみんな、缶ビールのふたを明けて、
一緒にこの時を過ごしましょう。
あ、お酒だめ?
じゃあコーヒーでも淹れましょうか。

それでは

地球の回転に 乾杯!

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一番星が出てきました。
東の空に明るく輝いています。
金星かな?

「あれは木星ですよ」
と、星に詳しいT君。ほんとうに詳しい。

今度は頭上にふたつめの星を発見。あれはなんだろう?
「あれはベガです」
即答。

南東の方角に、3番目の星が輝きだしました。
あれはなんだろうねえ。
「あれは・・・飛行機ですよ、ほら、動いてる」

・・・・・そうともいうね。



いつもどおりマカロニを茹で、
レトルトパックのソースの封を切り、
冷たいソースに熱々のマカロニをぶち込む、
それをレトルトパックのまま貪り食う、
傍らには缶ビール。
下界でやったら、わびしさこの上もないこのスタイルも、
天上では宮中晩餐会の極上レシピとテーブルマナー。

そんな晩餐もお開きになり、
テントから首だけ出すと・・・

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天の川の落ち行く先の地平線に明るく輝くのは、
中京圏の街の明かりでしょうか。
あれでは星が見えないわけです。

でもおかげで山の影が映えています。
山の上では、すべてがプラスに作用するのです。

標高3000mの夜。

空は澄んでいました。



翌朝
穂高方面へ縦走し、
3日後に上高地へ下山するというT君と再会を約し、テントを撤収。

で、今朝も性懲りもなくヤリの穂先へ。

さあ、ここから下ります。

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ヤリさん、さようなら、お世話になりました、パチリ。
(太宰治 「富嶽百景」のパクリで)



下りはゆっくりカワイイ子たちを愛でながら。

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画像上左 
鳥兜(トリカブト)

画像上右 
深山金鳳花(ミヤマキンポウゲ)

画像下  
信濃金梅(シナノキンバイ)

 



16:30ごろだったかな?
河童橋帰着。 

お付き合いいただいて、ありがとうございました。


オマケ
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ヤリの影
9:40
休憩の後、槍沢ロッヂを出発。

R0017680.JPG

槍本峰が姿を見せたのは、ほんとうに一瞬だけでした。
しかし代わりにこの景色。
歩けば山、歩けば、花。

道端に屈みて花に道問へば ただまつすぐに上へと答ふる

しかしどうしたことか、身体が重たいのです。
歩き始めて4時間以上。
もうそろそろ、荷が身体の一部になって、
足が軽くなっていてもよさそうなころなのに、
今日は身体とザックが仲違い。
なかなか一つになってはくれません。

歩いては止まり、歩いては倒れ、
いざるように進んでゆきます。

それにアブがひどい。

ちょっとでも立ち止まると、たくさんのアブが身体にたかりだします。
へたりこんで休憩している時など、
こちらに追い払う気力がないのを良いことに、
顔にも頭にもぶんぶん、ぶんぶん。
まあ、刺したり悪さしないので、慣れれば可愛いものなのですが、
耳元に来られるのは、ちょっとね。



「いやあ、アブがひどいですね」
と、人懐っこそうな笑顔の上に、こちらと同様アブを数匹飼っている男が一人。
この男、ワタクシと同じテン泊装備、歩くスピードもだいたい一緒。
彼がヘタればワタクシが抜き、ワタクシがヘタれば彼が抜き、
そのうち道連れになってしまった、福岡から来たT君です。

彼は稜線より200m下の「殺生ヒュッテ」のテン場泊まりの予定だということ。
ワタクシは稜線上の「槍ヶ岳山荘」まで行く予定なのですが、
どうもこの身体の辛さからすると、
その高度差200mが果てしない距離に思えてきます。

どうしよっかな、ボクも殺生泊まりにしようかな。
どっちにしてもヤリは射程距離だしな。
どーしよーかな、どーしよーかな。

R0017694.JPGなどと考え登っていると、
突如ヤリが現れました。

画像は、見え始めてから
少し登った先の
「坊主岩小屋」付近。

槍ヶ岳開山の祖、
江戸時代の僧、播隆上人が
使ったとされる岩小屋です。

岩のくぼみに
大きな岩が覆いかぶさり、
居心地が良さそうですが、
彼はここで何十日も
念仏を唱えていたとか。

画像右端の稜線付近に
殺生ヒュッテが見えます。
(わかるかな?)

画像には写っていませんが、
ワタクシが目指すのは、
ヤリの、向かって左脇にある
槍ヶ岳山荘のテン場です。

そのわずかな差がつらい。
どっしよっかな~。



はてさてどうしたものかと思っているうちに、
早くも殺生との分岐が目の前に迫ってきました。
口では、T君に、じゃあそろそろ、気を付けて、なんて言いつつも、
心の裡では、もうこのへんにしようよ、などと弱音たらたら。

ところが
殺生との分岐に達したところで、この期に及んでのT君の爆弾発言。
「やっぱ僕も上まで行きますよ」

「・・・はい?」

「せっかく仲良くなったんだし、T君につきあって殺生泊まりにしたんだよ」
という言い訳を封じられたワタクシは、
果たしてその動揺を完全に隠し切れていたのでしょうか。


R0017716.JPGこの一歩 この一蹴りが
重力を振り切り 
空へ向かふと信ず

道はいよいよ九十九折れ、
稜線までの最終区間です。
道が折れる度に立ち止まり、
何度か折れると座り込み、
急な斜面なので下ばかり
向いていたのですが、
ふと見上げると、
目的地はもう目の前。
だけどそのわずかな距離が
遠い、遠い。

だけど後ろを振り返ると
いつもは安曇野から
見上げてばかりの常念岳が、
もうオレより高いところまで行ったんだ、あと少しだよ。
と、背中を押してくれます。



あそこまであと何歩?
いち、に、さん、し、・・・
・・・あれ?いまは何歩目?
まあいいや
とにかく前へ・・・。
右、左、みぎ、ひだり・・・





15:30 槍の肩到着。

R0017705.JPG

稜線まで達しました。
その先が見えています。
飛騨側は雲の大波がうねっていました。

T君もいい顔してました。

雲の波にさらわれぬよう、岩の陰に幕営準備完了。
靴を履いたままテントにもぐり込み、足はテントの外に投げ出して、
しばしまどろんでいました。



そんなわけで、「破」の巻はここまで。
ずいぶん長くなってしまったね。
ここまで読んで頂いた方、どうもありがとう。


さあ、いよいよ次号、ヤリの穂先へ・・・!

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