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葡萄畑の傍に庵を結び、日々徒然なるまま  このブログのシステムもよく理解できぬまま、 勢いで始めてしまったブログ。
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前回に引き続き、サトイモ科テンナンショウ属のお話。

さて、前回の記事に関して
素っ頓狂な印度旅行記が楽しいブログ
「おばちゃん@インディア」を運営されているあきこさんから
こんな質問をいただきました。

「ところで、雌花(状態)に入って閉じ込められた虫は、
雌花の養分になるのですか? それとも、単に無駄死にするのですか?」

・・・恐ろしいことを聞いてこられるものです。
実はワタクシとしても疑問に思わなくもなかったのですが、
その先を考えるのが恐ろしく、有耶無耶にしていた件でした、それは。

でも、ま、正面切って聞かれちゃしょうがない。腹を括って調べてみました。

順を追ってお話しましょう。
サトイモ科の花の場合、たとえば水芭蕉の白い部分などは、花ではなく、
仏炎苞とよばれるもので、花自体は、仏炎苞に包まれた、
花序と呼ばれる柱状のものに付いています。

前回の記事のマムシグサの画像をご参照ください。

マムシグサの場合、花序は、緑色の筒型の仏炎苞に包まれた形になっています。
その花序の上部には花はなく、下部にあるのですが、
マムシグサの発する臭いに誘われてやってきた虫たち(主にハエ類)は、
この下部の花のところに達するわけです。
(この臭いは、キノコのそれを模したものだそうです)

ところで、マムシグサの花序の柱には、中ほどに膨らみがあります。
このふくらみより下に花が付いているわけです。
このふくらみが、ちょうど「ねずみ返し」の役割を果たし、
下部に達したハエたちの、上方への脱出を妨げているわけですね。

運よくそれが雄花だったら、ハエさんたちは下部の穴から脱出できるわけですが、
雌花だった場合、哀れハエさんたちは、仏炎苞と花との狭い隙間を、
死ぬまではいずりまわることになります。

からだに花粉をつけた昆虫が、このような振る舞いをすることで、
仏炎苞中の雌花には、まんべんなく花粉がすりつけられることになるわけです。

そして、実が熟してくると、仏炎苞は剥がれおちますが、
顕わになった実の表面には、ハエさんたちの無残な姿が・・・。
どうやら喰われるわけでもないようで・・・。

まあ、人により感じ方はあるかと思いますが、
交尾後に食われてしまうカマキリのオスの方が、まだ救いがあるかなと。

人間で言えば、おいしい話に騙されて、
手を出した女が、運悪くヤクザの情婦で、身ぐるみはがされた上、監禁されて、
重労働させられながら、じわじわ死んでいくようなもんで、
死体は多摩川の河口にでも投げ捨てられて・・・。
これを犬死にと言わずして、何と言うべきか。

あきこさん、はっきり言います。奴らは犬死にです。 
ハエの犬死に。

・・・あ、みなさん、ハエのなれの果ての画像は、グロいので検索しないように。




気をとりなおして、調べている間に見つけた素敵なお花のご紹介。

「スマトラオオコンニャク」

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、
数年に一度、2日間のみ咲くという、熱帯雨林の花。
花の全高は3mに達するものもあるそうで、
強烈な死臭を発して甲虫類を呼び寄せ、
受粉させた後は、ヤクザなテンナンショウ属と違って、
ちゃんと虫たちを解放してあげるという
なんとも、癒し系なお花なのです・・・。

・・・もうなんか、癒し系とか、言葉の適用基準がよくわからなくなってきたよ。



それにしても
今回のテンナンショウフィーバーで、
植物たちが、いかに図太く、逞しく生きているか、再確認させられましたが、
でも、考えてみれば、我々ニンゲン様たちだって、
生きていく為、だけの理由をはるかに超えて、
ずいぶんエゲツないことやってるもんです。

花の振り見て我が振り直せ

いろいろと身につまされてくるというものです。


頬寄せて 君愛でし花 世に在るは 其が利を追いし 知恵の果てなり
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R0017016.JPG

天南に シュバルツシルトの花開く 我 蟲となり 永遠に落ち行く


今、職場で「サトイモ科テンナンショウ属」がアツイのです。

きっかけは、この季節になると
そこかしこに花をさかせる「マムシグサ」でした。
やがて
自宅に毒草の花園を持つという、多肉植物オタクのKが
同属の「ウラシマソウ」や「ユキモチソウ」の話を始め
そして、上高地固有種の「カミコウチテンナンショウ」に話題は移り

そうこうしているうちに
当館の料理長が、それを目撃したという情報を得て、彼を事情聴取。
もしなんならその場所に連れて行ってやる
とのお言葉に
ついにマネージャーから、ワタクシに現場確認の特命が下ったのでした。

・・・ええ、ヒマですよ、そうですよ。そんなもんです、この時期なんて。

で、連れて行ってもらった場所。
半端でなくマニアックな場所で、半端でなく険しいルートでした。
わずか15分ほどの登りでしたが、
着いた時には正直ほっとしました。

残念ながら花は萎れていましたが・・・
be155066.JPG

多分、これが絶滅危惧種といわれる、「上高地天南星」の姿(だと思う)

さて

冒頭の画像は、同じテンナンショウ属の「マムシグサ」。
この花の茎の下の方が、マダラ模様になっておりまして、
なかなかいい感じにキモチワルイのです。

さらに
以下はテンナンショウ属に共通の特徴ですが
秋になると茎のてっぺんに、短いトウモロコシのような感じの実をつけます。
トウモロコシの粒々が、どぎつい赤色になった様を想像してみてください。
血のような赤色のブツブツがびっしり・・・。

どうです?

さらにさらに
こやつら、性転換します。
その土壌の栄養状態によって、雄花になったり雌花になったり。

もひとつおまけに
雄花(状態)の筒の中に入った虫は、底に開いた穴より脱出できるのですが
雌花(状態)に入った虫は、閉じ込められて、花と運命を共にするのです。
虫にとっては厄介極まりないブラックホールです。

花気味悪し、実も禍々し、生き方も忌わし・・・

そんな三拍子そろった愉快なテンナンショウ「族」たち
あなたの周りにもきっといるはず・・・。



「シュバルツシルト半径」とは、ブラックホールに近づいた物質が、
引力に逆らえなくなり、脱出が不可能になる範囲の名前です。
人生の場合、シュバルツシルトのことを「結婚」と呼びます。
b8afa9c7.JPG

清流に耀ふ鋼を漁て 鍛ふる焔に染むる山人
(せいりうにかがよふはがねをすなどりて
きたふるほむらにそむるやまびと)

河童橋より、梓川を上流に遡ること小1時間

太古に神の舞い降りた、明神岳の懐に厳然と佇む
明神池のほとりに、その小屋はあります。

日本の山岳美を、欧州、そして世界に広めた功労者
W.ウェストン卿のガイドとして知られる、
上条嘉門次が拓いた小屋です。

ここの名物は、囲炉裏の火で焼く岩魚の塩焼き。

炭の遠火で焼く塩焼きは、骨まで柔らかく
頭から丸かじりが、ここの作法。

もちろん、骨酒だってありますよ。

 小屋の外の青葉も
咲き乱れる野の花も、鳥の囀りも
人の流れも、街の出来事も

みんな囲炉裏のなかに放り込まれて
灰になって

ここでは時が止まっていました。
花も樹も我も 見上げて待ち望む 山の彼方の その望月を


そういえば、昨晩は満月だったのでした。
ちょうど、月の出の方角に、
巨大な岩山「六百山」があるものですから、
いつになっても、月は姿を現してくれませんでした。

宿直勤務中ゆえ
つめたく白い蛍光灯の光に沈んだ事務所の中で
シェードを降ろした狭い窓越しに
山の頂きのシルエットを浮かび上がらせている
優しく白い光を想い

山の向こうを、ゆっくりと進む、
月の歩みを感じ・・・

・・・やがて、月のことなども忘れて
仮眠室のベッドで、束の間の眠りに就いたのです。



月が出たころ
見ていた夢のことは
覚えていません。
R0016613-2.JPG

らせうもんかづら うるはしすがたみて をにとなづけし いにしへびとよ


植物の身になってみた場合、
花というものは、まあぶっちゃけ、
生殖器なわけなのです。

だから見ようによっては、美しくも、グロテスクにも見えてしまう、
それは仕方のないことでもあります。

さて、上の画像。
らせうもんかずら
現代表記だと、「らしょうもんかずら」、になるわけですが。
ちょっと変な名前ですよね。

「らしょうもん」は、もちろん「羅生門」のこと。
羅生門に巣食う鬼を退治したおりに、切り落とされた鬼の腕に似ているから、
というのが名称の由来とされています。

つまり、この花の名前をつけた先人は、
この花に「グロ」を見たのでしょうか。
たしかに「キシェー」って感じではありますが。

ところで

外国人に、日本の「鬼」を説明しようとする場合、
あなたならどうしますか?

これ、なかなか難しいと思います。
同じ漢字文化圏の人に説明するとしても、
中国の「鬼」と日本の「おに」は、だいぶ違うはずで、
ましてや英語圏の人々に説明しようとすると
Monster でも Beast でも Ghost でも、
きっと充分には説明できないだろうと思うのです。

毎度おなじみのWikipediaを見てみても、
ずいぶんと複雑なことが書いてあります。

おそらく、八百万の神やらブッダやらキリストやらを抱える
日本の複雑な宗教事情が、
鬼に様々な役割を担わせてしまったのだと思います。

さらに、臭いものにはフタ的なものの考え方が
鬼に、様々な悪しき物事を背負わせてしまっているフシもあるような気がします。
全部オニのせいにしてしまえ、ってね。

大和朝廷に駆逐された先住民族たちも、
鬼 として扱われてきた歴史があります。

いずれにせよ、鬼とは、利用されることがあるとはいえ(護国の鬼、みたいに)
いずれは退治され、捨てられる存在といえるのでしょう。

だから、どことなく悲しさを持つ、
日本の鬼には、そんな特徴があるのかもしれません。



羅生門の階上に追い詰められ
英雄に腕を切り落とされて果てた鬼たち。

そんな彼らに手向けられた供花が
今日も丈の高い草に埋もれるようにして
ひっそりと咲いています。
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